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内視鏡検査・内視鏡検診

 一生の間で胃癌になる確率は、男性では9人に1人、女性では17人に1人です。日本人が胃癌になることは、頻度から考えると一般的であるといえます。しかし、現在は胃癌になったとしても多くの方が治療により胃癌を根治できています。それは、日本では胃癌の検診システムが広く普及しているためです。
 内視鏡の普及に伴い、胃癌だけでなく、食道癌や大腸癌も高率に早期発見することができる時代になってきました。また、癌を早期発見することで治療法にも選択の余地が生じてきます。従来は癌治療の王道は手術でしたが、近年は内視鏡治療も大幅に進化してきており、以前は早期癌であっても治療のため手術が必要であった方の多くで、内視鏡治療により癌が根治できるようになってきました。しかしながら、癌を内視鏡治療で根治するためには、より早期に癌を発見することが最も近道です。
 胃癌・食道癌・大腸癌などの早期発見には、内視鏡による定期検診が非常に重要です。内視鏡機器は日々進化しておりますが、当院では最新機器を随時導入し、最先端の内視鏡検査・治療が行えるよう努力しております。

上部内視鏡検査(食道・胃・十二指腸)

1)概要

 9〜10mm程の太さの内視鏡を口から挿入し、食道・胃・十二指腸(一部)を観察します。色や凹凸の特徴から胃癌や食道癌、潰瘍や炎症などの病気を見つけます。色素や特殊な光を用いて違いを強調する場合や、細胞を採取して(組織検査)詳しく検査する場合もあります。

2)当院内視鏡センターにおける上部内視鏡検査の特徴

 当院内視鏡センターではハイビジョン内視鏡を主体とした高画質内視鏡による検査を行っています。当院では内視鏡センター開院後の11年間で9万件以上の上部内視鏡検査を行いました。当院の人間ドック内視鏡検診で胃癌を発見された方の95%は早期胃癌でしたが、この結果は全国的にみてもトップレベルです。当院では内視鏡検査に習熟した医師が検査を担当しておりますが、高い早期胃癌発見率は高画質内視鏡の役割も大きいと思われます。しかし、ハイビジョン内視鏡による高画質内視鏡検査は、経口内視鏡でしか検査ができません。
 経口内視鏡が苦手な方には、鎮静剤を使用し眠っている間に内視鏡検査をする方法も行っております。当院で鎮静剤を使用し内視鏡検査を行った場合、多くの方が検査のあいだ眠ってしまい検査を覚えていません。経口内視鏡検査が辛い方は、ぜひご相談ください。

内視鏡検査・内視鏡検診【写真左】富士フイルム社製ハイビジョン内視鏡の非常に鮮明な画像です。微細な病変の発見には最も適しています。

【写真下左】最新の富士フイルム社製経鼻内視鏡の画像です。最近機器では経鼻内視鏡でも高画質になってきましたが、ハイビジョン内視鏡とは画質に差が見られます。
【写真下右】富士フイルム社製経鼻内視鏡(従来品)の画像です。画質は鮮明で早期癌の発見も可能ですが、ハイビジョン内視鏡や最新の経鼻内視鏡と比較すると、明らかに画質に差があります。 内視鏡検査・内視鏡検診

内視鏡検査・内視鏡検診【写真左】オリンパス社製ハイビジョン内視鏡システムです。

【写真下】ハイビジョン内視鏡による早期胃癌の画像です。青矢印の先に1cm程の胃癌があります。胃癌の初期では、稀ですがこの病変のように非常に発見が困難な病変があります。一般的な内視鏡でこのような病変を発見することは非常に難しく、より早期に胃癌を発見するためにはハイビジョン内視鏡などの高画質内視鏡が有効です。
内視鏡検査・内視鏡検診

3)経鼻内視鏡について

 近年、経鼻内視鏡が普及してきました。当院内視鏡センターでは経鼻内視鏡を5本常備しており、患者様のご希望に応じ経鼻内視鏡を行っております。経鼻内視鏡は若干画質に問題があると言われることもありますが、最新機器では画質の改良も進んでおり早期癌を発見することは可能です。当院内視鏡センターでは、最新の高画質経鼻内視鏡も常備しております。
 検査中の苦痛に関しては、経鼻内視鏡では咽頭反射が軽減されるため、約半数の方が経口内視鏡より楽に検査を受けることができます。

【写真下】早期胃癌の画質比較です。同じ早期胃癌を、オリンパス社製ハイビジョン内視鏡【写真左】とオリンパス社製経鼻内視鏡【写真右】で撮影しています。経鼻内視鏡でも早期胃癌の発見は可能ですが、ハイビジョン内視鏡では非常に鮮明な内視鏡観察が可能です。慢性胃炎・萎縮性胃炎や胃潰瘍の方、また、胃癌の家族歴がある方などには、ハイビジョン内視鏡による検査をお勧めしております。
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4)胃内視鏡検診の信頼性

 胃内視鏡検査はレントゲン検査のあとの精密検査として行われており、レントゲン検査より多くの胃癌が発見されます。
 当院では胃癌治療に関しては死亡率を減少させることだけでなく、早期発見を契機に低侵襲治療で胃癌を根治するために内視鏡での検診をお勧めしています。

下部内視鏡検査(大腸)

1)概要

 10〜13mm前後の太さの内視鏡を肛門から挿入し大腸(直腸・結腸)を観察し、大腸癌・大腸ポリープ(腺腫)や炎症などの病気を見つけます。病気が発見された場合には色素やNBIなどの特殊な光を用いて詳細に観察を行います。また、下部内視鏡検査では通常の検査でも拡大内視鏡を使用することがあります。拡大内視鏡で検査を行い病気が見つかった場合には、直ちに拡大内視鏡観察を行い精密に観察します。詳細に観察を行った後、必要に応じて細胞を採取して(組織検査)詳しく検査する場合もあります。また、ポリープの観察後に切除が必要と判断した場合には、引き続き内視鏡治療を行い切除する場合もあります。

内視鏡検査・内視鏡検診【写真左】進行大腸癌の画像です。下血や便秘などの症状や、便潜血反応で異常を指摘され内視鏡検査を行い発見されることが多いです。治療には手術を行う必要があります。

内視鏡検査・内視鏡検診【写真左】早期大腸癌の画像です。早期大腸癌では症状がない方が多く、便潜血反応でも異常を指摘されないことがあるため、早期発見には内視鏡検査が大変重要です。

内視鏡検査・内視鏡検診【写真左】3cm程の早期大腸癌です。この病変は根がはっていない表面だけの癌(粘膜内癌)であるため、早期発見できれば内視鏡治療が可能です。しかし、平坦型で色調の変化も少ないことから、大腸内視鏡に熟練した医師でなければ内視鏡検査を行っても見逃されてしまうことがあります。当院では、日本消化器内視鏡学会指導医や専門医など、大腸内視鏡に習熟した医師が主に検査を担当しております。

2)検査の準備

 大腸内を観察するために腸の中を空にしておく必要があり、事前に検査食や下剤を服用する必要があります。

3)検査時間

 概ねの検査時間は5分〜20分程度です。ただし、大腸の形は個人差が大きく、内視鏡挿入が困難な方では時間がかかることがあります。特に、腹部手術歴のある方は癒着等により検査が困難になることがあります。

4)検査に伴う苦痛

 当院では、大腸内視鏡に習熟した医師が検査を行っておりますが、不安の強い方や、過去の大腸内視鏡検査が苦痛だった方には、鎮静剤を用いて楽に検査を受けて頂けるようにしております。
 また、過去の大腸内視鏡検査が非常に辛かった方では、高度な技術を有する大腸内視鏡のスペシャリストが検査を担当しますので、そのような方は事前にお申し出ください。
 大腸内視鏡では検査が順調に終了しても、内視鏡検査に伴い大腸の中に送気された空気により、お腹の張りなどの苦痛がしばらく続いてしまうことがありました。当院では、内視鏡用炭酸ガス発送装置を導入しており、空気ではなく炭酸ガスを使用し内視鏡検査を行っております。炭酸ガスは非常に早く吸収され数分で体外に排出されるため、検査が終わった後の苦痛が大幅に軽減できるようになりました。

5)過去の大腸内視鏡で挿入不可能であった方

 大腸内視鏡検査では、腹部手術後の癒着などにより内視鏡の挿入が困難や不可能な方がいらっしゃいます。当院では、内視鏡に習熟した医師が検査を担当しており99%以上の方で大腸全域の内視鏡観察が可能ですが、残念ながら100%ではありません。
 当院では、通常の大腸内視鏡では内視鏡検査が困難・不可能な方に、ダブルバルーン内視鏡を応用することで、大幅に痛みを軽減しつつ大腸全域の内視鏡観察を行っております。(詳しくはダブルバルーン内視鏡の項をご覧ください。)

ダブルバルーン内視鏡(DBE)

1)概要

 小腸に病気ができるのは比較的まれですが、ダブルバルーン内視鏡が開発される以前は、小腸の病気を診断し治療することは非常に難渋することが多くみられました。ダブルバルーン内視鏡は自治医科大学附属病院の山本博徳教授が2001年に開発し、小腸の病気に対する診断のため、内視鏡を口または肛門から小腸の奥まで挿入する検査です。小腸における出血性の病気、炎症(腸炎)、腫瘍、腸管狭窄などの診断を主な目的として検査を行います。また、病気の状態により、出血に対する治療(内視鏡的止血術)や腸管狭窄に対する治療(内視鏡的拡張術)等を同時に行うことがあります。
 当院では、ダブルバルーン内視鏡を開発した自治医科大学山本教授のもとで研修した医師が、ダブルバルーン内視鏡検査・治療を担当しております

2)検査の説明

 使用する内視鏡は、通常の胃や大腸の内視鏡と構造は同様ですが、口や肛門から内視鏡を挿入し小腸の深部まで観察できるように、約2mの非常に長い内視鏡です。この内視鏡は先端に風船(バルーン)が装着されており、内視鏡には内視鏡を覆うオーバーチューブを装着します。オーバーチューブ先端にも風船(バルーン)が装着されており、2個のバルーンで状況に応じて、同時または片方のみ膨らませたりしぼめたりすることにより腸管を把持し、小腸の深部まで内視鏡を挿入していきます。検査時間は1〜2時間程度で、検査中は苦痛軽減のため鎮痛・鎮静剤を使用します。

【写真下左】ダブルバルーン内視鏡は、内視鏡光源セットとバルーンコントローラーより構成されます。
【写真下右】バルーンコントローラーは内視鏡先端やオーバーチューブ先端の風船(バルーン)にかかる圧力を感知し、安全に腸管を把持できるように、バルーン内部の空気量を自動的に調節します。
内視鏡検査・内視鏡検診

【写真下左】ダブルバルーン内視鏡には、小腸観察用、小腸治療用、大腸・術後腸管用の3種類があります。
【写真下右】内視鏡先端とオーバーチューブ先端に装着されている風船(バルーン)の拡大像です。バルーンはやわらかいゴムでできています。
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3)ダブルバルーン小腸内視鏡

 口から肛門までの消化管は非常に長く7〜8m程度と言われています。内視鏡は口(鼻)、もしくは肛門より挿入し1m程度挿入することができます。上部内視鏡検査では口から挿入し、食道・胃・十二指腸(一部)を観察できます。下部内視鏡検査では肛門より挿入し大腸や小腸の終末部を観察することができます。小腸の長さは5〜6mと長く、消化管の中心部に存在しています。そのため、一般的な内視鏡(上部・下部内視鏡)では長い小腸の観察はほとんど不可能でした。
 ダブルバルーン内視鏡は、内視鏡やオーバーチューブに装着されている風船(バルーン)により腸管を把持することで、一般的な内視鏡では挿入が不可能である小腸の深部まで安定して内視鏡を挿入することができるため、高率に小腸全域の内視鏡観察ができます。

【写真下】当院のPET-CT検査で小腸に異常を指摘されたため、ダブルバルーン小腸内視鏡を行いました。小腸の広範囲にポリープが多発していました。内視鏡検査では病変が指摘された場合、細胞を採取することができます。ダブルバルーン内視鏡でポリープより細胞を採取し病理検査を行ったところ、小腸の悪性リンパ腫(濾胞性リンパ腫)であることが判明しました。
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【写真下】長年にわたり消化管出血を繰り返し、慢性貧血を来している患者様です。複数の病院で検査を行いましたが原因が分からず、小腸検査目的で当院に紹介されました。
ダブルバルーン内視鏡を行ったところ、小腸の深部に潰瘍【写真左;青矢印】を認め小腸の狭窄や変形をきたしています。画像右は小腸潰瘍の拡大画像です。
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内視鏡検査・内視鏡検診【写真左】小腸の深部に病変があったため、ダブルバルーン内視鏡はお腹の中で3回転し挿入されています。このように、非常に奥の小腸に病気が存在しても、ダブルバルーン内視鏡では安定して内視鏡を挿入することができます。

内視鏡検査・内視鏡検診【写真左】ダブルバルーン内視鏡から小腸に造影剤を注入しレントゲンを撮影したところ、潰瘍により小腸が大幅に狭窄(青矢印)していることが確認できました。
潰瘍の局在や、形状より、慢性腰痛のため内服していた鎮痛剤が原因である可能性が高いと診断しました。鎮痛剤の内服を中止して頂いたところ、消化管出血の再発は無く、貧血も改善しました。

4)ダブルバルーン内視鏡を応用した内視鏡検査・治療

 ダブルバルーン内視鏡を応用することで、今までは内視鏡検査・治療が不可能であった患者様の一部では内視鏡検査・治療が可能になりました。ダブルバルーン内視鏡を応用して行う内視鏡検査・治療では下記のような方法があります。

A)クローン病などによる小腸狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術

 クローン病などによる小腸狭窄が原因で腸閉塞を来した場合、手術により治療する場合があります。しかし、特にクローン病では、手術を行っても小腸の別の部位に再度狭窄を来すことが多く、長期の経過中には多数回の手術が行われることがあり、手術が根本的な治療法ではないという問題点がありました。
 ダブルバルーン内視鏡を使用し小腸の狭窄部まで内視鏡を挿入した後、風船のような機器(バルーン)を用いて、狭窄に対し内視鏡的バルーン拡張術を行うことで手術を回避できることがあります。

【写真下】クローン病のため腸閉塞を来している患者様で、長期間に及び食事ができない状態です。小腸にダブルバルーン内視鏡を挿入すると、高度の小腸狭窄(写真左)を認めました。狭窄は高度であったため、内視鏡は通過できませんでした。レントゲン撮影を行うと(写真右)、ダブルバルーン内視鏡は小腸の深部まで挿入されています。
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内視鏡検査・内視鏡検診【写真左】狭窄している部位で造影検査を行うと、約3cmに渡り小腸は高度に狭窄していることが判明しました。

内視鏡検査・内視鏡検診【写真左】狭窄を拡張するため、内視鏡的バルーン拡張術を行っています。矢印の部位で高度狭窄が見られます。

内視鏡検査・内視鏡検診【写真左】バルーンを加圧することにより狭窄が拡張されました。治療後は腸閉塞症状が改善しました。


B)通常の内視鏡では大腸内視鏡が困難・不可能な方

 通常の大腸内視鏡検査では、内視鏡挿入に伴い高度の苦痛を伴う方がいらっしゃいます。また、時に大腸内視鏡を盲腸まで挿入することが不可能で、大腸全域の内視鏡観察が不可能な場合があります。近年、ダブルバルーン内視鏡を大腸内視鏡検査が困難な方に使用すると、大幅に苦痛を軽減し安定した大腸内視鏡検査が可能となることがわかってきました。当院では、そのような患者様にダブルバルーン内視鏡を用いた大腸内視鏡検査・治療を行うことで、ほぼ全ての方の大腸全域の内視鏡検査・治療が可能となりました。

C)術後腸管(胃術後など)の胆管結石内視鏡治療

 胃を手術された方などの一部では、通常の胆管結石治療用の内視鏡では目的部位まで内視鏡が到達せず、内視鏡検査・治療が不可能となるため手術で治療する場合があります。ダブルバルーン内視鏡は手術後の複雑な腸管でも深部まで内視鏡を挿入することが可能となるため、そのような方にダブルバルーン内視鏡を使用すると、手術を回避できる可能性があります。(詳しくはその他特殊内視鏡治療の項をご覧ください。)

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