内視鏡

2017年10月30日 maki (閲覧数:10835)

その他の特殊内視鏡治療

 当院では、ESDとダブルバルーン内視鏡を併用した、また、ERCPとダブルバルーン内視鏡を併用した、hybrid内視鏡検査・治療を行っております。

1)DBESD(ダブルバルーン内視鏡補助下大腸ESD)

 腹部手術後の癒着などにより、大腸内視鏡の挿入や操作が非常に難しい方がいらっしゃいます。大腸ESDでは繊細な内視鏡技術が必要とされるため、高度の癒着がある方などでは大腸ESDが不可能となる場合があります。そのような方にダブルバルーン内視鏡を使用すると、癒着など内視鏡操作に影響を及ぼす原因を大幅に軽減することが可能となり、繊細な操作が必要とされる大腸ESDを安定して行うことが可能になります。

2)DBERCP(ダブルバルーン内視鏡補助下ERCP)

 胆管結石の多くは内視鏡治療を行うことが可能ですが、胃や肝臓などの手術をされた方の一部では治療用内視鏡の挿入が不可能であるため、外科的手術が必要になる場合があります。ダブルバルーン内視鏡では、術後腸管などの複雑な腸管でも内視鏡を深部まで挿入することが可能となるため、当院では従来の内視鏡で胆管結石の内視鏡治療が困難な腹部手術後の患者様に、ダブルバルーン内視鏡を用いた胆管結石の治療を行っています。
 他に、従来の内視鏡では挿入困難な腹部手術後の方で、胆管・胆嚢・膵臓腫瘍の精密検査を目的にDBERCPを行っております。また、生体肝移植後などの空腸胆管吻合部狭窄に対しDBERCPを行い、内視鏡的バルーン拡張術やステント留置術を行っております。

【写真下】生体肝移植後の患者様です。手術に伴い、肝臓から排出される胆汁が流れる胆管が小腸に吻合されています。しかし、手術後に小腸と胆管の吻合部が完全に閉鎖してしまい、黄疸を来たしお腹から肝臓に管(ドレナージチューブ)を刺さなければならない状態です。ダブルバルーン内視鏡で小腸と胆管の吻合部を確認し(写真左)、その後、造影検査を施行すると、吻合部が完全に閉鎖していることが確認できました(写真右)。吻合部を再開通させないと、一生、お腹から肝臓にドレナージチューブが刺さった状態で生活しなければなりません。


【写真左】再開通させるために、ダブルバルーン内視鏡・胆道鏡ランデブー法により、再開通させる位置を確認しています。

【写真左】ガイドワイヤーを小腸から胆管に穿通させることに成功しました。ガイドワイヤーは細い針金のようなものなので、吻合部は非常に細い穴しか空いていない状態です。このままでは、再閉鎖を来すため、引き続き内視鏡的バルーン拡張術を行います。

【写真下】バルーンを加圧し、再開通させた吻合部を拡張します。


【写真左】内視鏡的バルーン拡張術により、吻合部が拡張しました。


【写真左】約半年後にステントを抜去しました。定期的なバルーン拡張術は必要ですが、1年以上経過しても、写真のように吻合部は無事に開存しています。

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