心不全の診断と治療

福田延昭Dr.

 真木病院は「真木会せんだんの会」のご協力を得て5月21日、グランビュー高崎で独立行政法人国立病院機構高崎総合医療センター、心臓血管内科(循環器)医長 福田延昭先生による健康講座「心不全の診断と治療」を開催したしました。

 福田先生は群馬大学医学部を卒業後、高崎総合医療センター、深谷総合病院、藤岡総合病院、群馬大学医学部附属病院などで活躍され、2010年から現職の心臓血管内科のエキスパートです。当日は心不全の診断、そして現在の治療について、わかりやすくご教授くださいました。

 以下は福田先生がまとめてくださった講座の内容です。

日本人と心臓病

 日本人の死因の第一位は、皆さんもご存知の通り悪性新生物(癌)です。そして、第二位に心臓病が位置しており、増加傾向となっています。心臓病の予防や早期診断・治療を行うことは、健康寿命を延ばす上で非常に重要です。

心不全とは?

 心臓病が基礎にあり心臓の機能が低下したため、息切れやむくみが起こり、段々と悪くなって生命に関わる病気です。つまり、心不全とは、心臓病が原因となって症状が出現した状態の総称です。軽い息切れや易疲労感といった年齢のせいかと思っていたら、実は心不全と言うこともあるので注意が必要です。

心不全の原因となる心臓病

 心臓病には多くの疾患が含まれますが、全国の調査で4つの疾患で全体のおよそ4分の3を占めます。最も多いのは、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)で30%程度、次いで高血圧性心臓病、弁膜症、拡張型心筋症がそれぞれ15%前後と続きます。また、単独で心不全の原因となることがあり、上位疾患に合併することも多いのが、不整脈の「心房細動」です。それぞれの疾患ついて説明します。

  • 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞):心臓の筋肉に酸素・栄養を送る血管「冠動脈」が筋肉の表面を走行しています。この冠動脈に動脈硬化が起きて、血管の内側にコレステロール等のかすが詰まり、内腔を狭小化していきます。狭窄のため一過性に胸痛が出るのが、「狭心症」です。流れてはいるので短時間で落ち着きます。しかし、血管が完全に閉塞をして「心筋梗塞」の状態にあると胸痛は持続し、致命傷となることも多い疾患です。治療には、内服治療、カテーテル治療、バイパス手術があります。また、動脈硬化の原因としては、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満、加齢が重要で、発症前に治療をしっかりと行うことが勧められます。
  • 高血圧性心臓病:高血圧を長年放置すると、心臓の肥大を生じます。さらに肥大が続くと心臓の機能が低下してきて、心不全症状がみられるようになります。治療としては、血圧管理が重要で、安定した血圧は肥大の退縮や心機能の回復が期待できます。
  • 心臓弁膜症:心臓には4つの扉が存在し、「弁」と呼ばれます。血液を一方向に流れるように一方向弁となり、血液の逆流を防ぎます。しかし、加齢や高血圧、先天的な異常が原因となり、弁の硬化により開きが悪くなる「狭窄症」を呈したり、弁の閉鎖が悪くなって逆流を来す「閉鎖不全症」を来すことがあります。治療としては、発生や進行を防ぐには血圧や血糖・脂質の管理が重要ですが、進行すると手術が必要となります。
  • 拡張型心筋症:心臓の筋肉(心筋)の病気です。心臓が拡大して動きが弱くなります。心臓が拡大することにより弁の構造も変化して、閉鎖不全症を合併することもあります。
  • 心房細動:典型的な不整脈で、心拍の間隔がバラバラになります。脈拍が速くなることが多く、動悸の原因や心臓が疲弊して機能の低下の原因となります。上記①〜④の疾患に合併することも多く、より心不全を悪化させます。治療としては、薬物治療とカテーテルアブレーション治療があります。また、心臓の中に血の塊(血栓)を形成することがあり、脳梗塞の原因となることがあります。その予防には、血液をサラサラに薬を飲むことがあります。

まとめ

 心不全は、様々な心臓病のために自覚症状を伴った状態です。心不全に共通した薬物治療がありますが、基礎疾患により治療選択の違いもあり、的確な診断を早期に受けて治療を開始する必要があります。

健康講座は年2回、春と秋に開催しております。どなたでもご参加いただけますので、ご興味をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。