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内視鏡治療(手術)

 当院では内視鏡センター開院以降、5000件以上の内視鏡治療を行っております。内視鏡治療に関しては、胃癌、大腸癌、食道癌などの治療として広く普及している従来法(EMRやPolypectomy)だけでなく、EMRなどでは内視鏡治療が困難で手術が検討されるような患者様を中心に、近年開発・発展してきたESDという方法を導入し多数の内視鏡治療を行っております。ESDによる内視鏡治療により、手術を回避し内視鏡治療で癌などの病気を根治することができる患者様が大幅に増加しました。しかし、ESDにより内視鏡治療を行うためには高い技術が必要とさるため、安定した治療成績でESDによる内視鏡治療を行っている施設は群馬県内でも限定されております。当院では胃癌や食道癌のESDだけでなく、最も高度な技術が必要と言われている大腸腫瘍(大腸癌・腺腫)に対するESDも行っております。大腸ESDは2009年7月〜2012年3月までは高度先進医療として臨床応用され、当院(真木病院)は厚生労働省より先進医療認定施設として承認されておりました。 2012年4月の制度改定に伴い、2cm〜5cmの大腸腫瘍に限定し、大腸ESDは保険収載されました。また、保険収載に伴い、大腸ESDに対する先進医療制度は廃止となっております。

1)ポリペクトミー(Polypectomy)

 病変の茎部にスネアという輪のような形をした電気メスをかけて、高周波電流により切除する方法です。主に隆起したポリープの内視鏡治療で行います。

【写真下】15mm程の大腸ポリープです。ポリープの基部には長い茎があります。
内視鏡治療

内視鏡治療【写真左】ポリープを切除する前に、茎にクリップという装置を使用し血液の流れを遮断します。この処置により切除後の出血を予防することができます。

内視鏡治療【写真左】スネアという機器を用いて茎の部分を絞約し、高周波発生措置を使用し切除します。

内視鏡治療【写真左】ポリープとクリップの間を切除することで、出血することなく病変を確実に切除することができました。切除後の顕微鏡による細胞の検査(病理診断)では大腸腺腫でした。腺腫の一部は癌化することがあるため内視鏡による切除が非常に有効ですが、内視鏡治療により根治することができました。

2)EMR(Endoscopic Mucosal Resection;内視鏡的粘膜切除術)

 粘膜下層に生理的食塩水などを注入し病気を挙上させた後に、ポリペクトミーの手技により切除する方法です。主に、平坦型や陥凹した病気の内視鏡治療で行います。

【写真下】8mm程の平坦型大腸ポリープです。青矢印の部位にポリープがあります。
内視鏡治療

【写真下左】NBI併用拡大観察(弱拡大)を行うとポリープは茶色の領域として認識され、ポリープの横方向の広がりが明瞭となります。
【写真下右】更に拡大倍率を上げてNBI併用拡大観察を行うと、ポリープ表面の毛細血管が細長い黒い糸のように観察されます。毛細血管のネットワーク構造に異型を認めたため、初期の癌の可能性が高いと判断し、引き続きEMRによる内視鏡治療を行いました。
内視鏡治療

【写真下】平坦型の大腸腫瘍を、安全かつ確実に切除するため、切除前に内視鏡専用の注射針を使用し、腫瘍下の大腸壁内部(粘膜下層)に生理的食塩水を注入し腫瘍を挙上させます。
内視鏡治療

【写真下】スネアという機器を用いて腫瘍と周囲粘膜を絞約し、高周波発生装置を使用し切除します。
内視鏡治療

内視鏡治療【写真左】腫瘍は確実に切除されました。切除後の顕微鏡による細胞の検査(病理診断)では初期の癌(粘膜内癌)で、内視鏡治療で根治することができました。

【写真下】切除後の粘膜からは、再び出血することがあります。再出血の頻度を低下させることを目的に、クリップという装置を使用し切除面を縫縮しました。尚、傷が治るとクリップは便と一緒に自然に排出されます。
内視鏡治療

3)ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術;Endoscopic Submucosal Dissection)

 胃癌や食道癌などの病気や周囲の粘膜下層に専用(ヒアルロン酸ナトリウム溶液)の液体を注入して病気を挙上させ、ESD専用の電気メスを使用して病変周囲の粘膜を切開し、引き続き粘膜下層の剥離を行います。繊細な内視鏡操作が必要なため高度な技術が必要となります。主に、EMRやPolypectomyなどの従来の内視鏡治療ではきれいに切除(一括切除)できない、大きな腫瘍の内視鏡治療ではESDにより内視鏡治療を行います。
 当院では適切な治療方針を判断するために、治療前に拡大内視鏡などを用いて精密に診断しておりますが、胃癌や食道癌では、ESDによる治療直前にもNBIを併用した拡大内視鏡検査を再度行い、癌などの病気の広がりを精密に再確認することで、癌の取り残しがなく正確に切除できるよう努力しております。この方法により、当院では癌の横方向の広がり(粘膜内進展)を99%以上の精度で正しく診断し、癌の取り残しがなく内視鏡治療できております。

50mm程の早期胃癌の画像です。
【写真下左】50mm程の早期胃癌の画像です。
【写真下右】青矢印の部位の平坦隆起が胃癌です。
内視鏡治療

【写真下】NBI併用拡大内視鏡(強拡大)の画像です。腺管構造に異型を認め、一部では癌表面の黒い糸のように見える毛細血管に異型が確認されます。初期の癌(粘膜内癌)の可能性が高いと判断しました。 胃癌は粘膜内癌であれば内視鏡治療により根治可能な病変が多いですが、この病変は50mm程と非常に大型のためEMRでは切除不可能です。患者様とご相談しESDによる治療を行う方針になりました。 内視鏡治療

内視鏡治療【写真左】切除を開始する前に、切除する範囲を間違えないように、癌の外側に全周にわたり白色の印(マーキング)をつけます。

内視鏡治療【写真左】NBI併用拡大内視鏡を使用しマーキングをしています。青矢印の部位が癌と正常粘膜の境界です。マーキングする部位を間違えると、癌を取り残してしまうことや切除する範囲が大きくなり過ぎるとこがあります。当院では、マーキングを行う際にNBI併用拡大観察を行い、癌の横方向の広がり(癌の範囲)を1mm以下の精度で精密に同定しています。当院ではこの方法でマーキングを行うことで、99%以上の患者様で癌の横方向の範囲を正しく判断できています。

内視鏡治療【写真左】EMRと同様に癌の下の胃壁内部(粘膜下層)に液体を注入し、癌を挙上させます。ESDでは生理的食塩水ではなく、ヒアルロン酸という特別な液体を注入することで、十分に癌を挙上させ切除します。

内視鏡治療【写真左】マーキングを目安にして、癌を取り残すことがないようにマーキングの外側の粘膜を切除しています。切除にはESD専用の電気メスを用います。

内視鏡治療【写真左】同様にESD専用の電気メスを使用し、癌の下の粘膜下層を少しずつ剥離し癌をそぎ落としています。

内視鏡治療【写真左】この病変は非常に大きい癌のため従来は外科的な手術による治療(胃切除術)が必要でしたが、ESDにより確実に癌を切除することができました。切除後の顕微鏡による細胞の検査(病理診断)では初期の癌(粘膜内癌)で、ESDによる内視鏡治療で根治することができました。

4)ESD(大腸腫瘍)

 当院は厚生労働省が承認した先進医療施設でしたが、2012年4月の制度改定に伴い、2cm〜5cmの大腸腫瘍に限定し大腸ESDは保険診療が適応されました。また、保険収載に伴い、大腸ESDに対する先進医療制度は廃止となっております。
 大腸腫瘍(早期がんおよび腺腫)を内視鏡切除する従来からの方法として、EMR(内視鏡的粘膜切除術)がありますが、大きな病変、遺残再発後の病変、線維化を伴う病変はEMRによる切除が困難です。EMRでは2cmを越えると半数が、3cmを越えると殆ど分割切除となります。分割切除はEMRを繰り返し行うことで複数の検体に分けて切除する方法ですが、精密な病理診断が困難となることから治癒の判定が難しくなります。また、遺残や再発の可能性が10〜50%と報告されており半年以内の内視鏡検査が必要となります。病変の存在部位や技術的な問題からEMRが困難と判断された場合や分割切除後に遺残再発した場合は、内視鏡切除で根治できる病変であっても外科手術が必要になります。
 これに対し、大腸ESD(内視鏡的大腸粘膜下層剥離術)では、EMR で切除困難な大型病変や技術的に難しい病変であっても高率に一括切除することが可能です。病変を一括切除すると精密な病理診断に基づく正確な治癒判定が可能で、治癒と判断されると一度で治療が完結することが最大の利点です。また、従来の内視鏡治療では治療困難で手術が必要とされる方の一部では、ESDによる内視鏡治療で手術を回避できることも大きな利点です。

【写真下】80mm程の大腸癌です。非常に大きい癌であるため、EMR等の従来の方法による内視鏡治療はほぼ不可能で、標準的治療法は外科的な手術になります。 内視鏡治療

【写真下】拡大内視鏡の画像です。NBI併用拡大内視鏡観察【写真左】では、腺管構造や毛細血管(黒い糸様に見えます)に異型は認めますが破壊は見られませんでした。染色法による拡大内視鏡観察【写真右】でも、腺管構造に異型は見られますが、破壊は認めませんでした。以上の所見から、非常に大型ですが初期の癌(粘膜内大腸癌)の可能性が高いと判断しました。粘膜内大腸癌は転移の可能性が無いため、内視鏡できれいに切除(一括切除)できれば、外科的な手術を回避し根治することができます。患者様がESDによる治療(治療当時は先進医療)を希望されたため、ESDによる内視鏡治療を行いました。 内視鏡治療

内視鏡治療【写真左】切除を開始する前に内視鏡専用の注射針を使用し、癌の下の大腸壁内(粘膜下層)にヒアルロン酸を注入し癌を挙上させます。ヒアルロン酸が注入された範囲が明瞭に認識できるように、ヒアルロン酸には人体に害のない青い色素を混ぜています。

内視鏡治療【写真左】大腸癌は癌の横方向の広がり(範囲)が明瞭に判別できるため、マーキングは行わずに、癌より3mmほど外側の粘膜をESD専用の電気メスを使用し切開していきます。

内視鏡治療【写真左】癌の下の粘膜下層を少しずつ剥離し癌をそぎ落としていきます。大腸の粘膜は非常に薄く、安全かつ確実に剥離するためには高度な技術が必要となります。当院では、内視鏡先端に透明なフードという装置を装着しています。フードを利用し粘膜を押し広げ直径7mm程の円状の小窓から粘膜下層の剥離を行うことで、正確に剥離できるようにしています。

【写真下】ESDによる内視鏡治療により、80mmの非常に大きい大腸癌を内視鏡的に切除することができました。 内視鏡治療

内視鏡治療【写真左】切除標本の画像です。80mmの大腸癌では粘膜内癌であっても標準的治療は外科的な手術になります。切除後の顕微鏡による細胞の検査(病理診断)では粘膜内癌であったため、この患者様は先進医療大腸ESD(治療当時)による内視鏡治療で大腸癌を根治することができました。


当院における大腸ESDの治療成績(2016年12月までの720病変)

当院における大腸ESDの治療成績

 大腸ESDは非常に高い内視鏡治療技術が必要とされますが、幸い当院では大きな偶発症が発生せず、ESDの最大の目的である一括切除は高い確率で達成できています。
しかし、大変残念ですが一括切除できなかった患者様もおります。一括切除出来なかった7病変では、6病変で治療困難のため中止となり、1病変で治療困難となりEMR法による分割切除へ変更しています。また、粘膜下層深部へ癌が浸潤した3病変では、病理診断で深部断端陽性となりました。

5)内視鏡治療の精度

 内視鏡治療で癌などの病気を治療する場合には、病気全体を完全に切除し体の外に出す必要があります。その際、重要なことは、病気の広がりを正確に診断する能力と、安全に切除する能力です。この2つの能力のうちどちらかが劣っていると、内視鏡治療の根治性が低下する恐れがあります。内視鏡治療の根治性を高めるためには、診断能力と治療技術の両者が備わっている必要があります。
 当院では内視鏡治療前に、NBI等を併用した拡大内視鏡検査や超音波内視鏡検査を駆使し精密な診断を行い、内視鏡治療による根治が見込まれたことを確認した後、内視鏡治療を提案させて頂いております。2016年12月までに当院でESDにより治療した1212病変(胃・大腸・食道・十二指腸)では、1204病変(99.3%)で一括切除できました(一括切除が不能であった8病変では、7病変は切除困難のため中止、1病変はEMR法による分割切除に変更)。一括切除できた1204病変では、腫瘍の横方向の取り残し(側方断端陽性率)は0.08%(1/1204)であり非常に安定した治療成績でした。

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