内視鏡

内視鏡検査・内視鏡検診

 内視鏡の普及に伴い、胃癌・大腸癌・食道癌などの早期発見が可能となりました。癌を早期発見するためには、定期的な内視鏡検査を受診することが非常に重要です。内視鏡機器は日々進化しておりますが、当院では最新機器を随時導入し、最先端の内視鏡検査・治療が行えるよう努力しております。

上部内視鏡検査(食道・胃・十二指腸)

1)概要

 6〜10mm程の太さの内視鏡を口から挿入し、食道・胃・十二指腸(一部)を観察します。色や凹凸の特徴から胃癌や食道癌、潰瘍や炎症などの病気を見つけます。色素や特殊な光を用いて違いを強調する場合や、細胞を採取して(組織検査)詳しく検査する場合もあります。

2)当院内視鏡センターにおける上部内視鏡検査の特徴

 当院内視鏡センターではハイビジョン内視鏡を主体とした高画質内視鏡による検査を行っています。内視鏡センター開設後の13年間で10万件以上の上部内視鏡検査を行いました。当院の人間ドック内視鏡検診で胃癌を発見された方の95%は早期胃癌で、高い精度で内視鏡検査を行うことができたと考えられます。当院では内視鏡検査に習熟した医師が検査を担当しておりますが、高い早期胃癌発見率はハイビジョン内視鏡の役割も大きいと思われます。
 経口内視鏡が苦手な方には、鎮静剤を使用し眠っている間に内視鏡検査をする方法も行っております。鎮静剤を使用した場合、多くの方が眠ってしまい検査を覚えていません。経口内視鏡検査が辛い方はご相談ください。




【写真上左】富士フイルム社製ハイビジョン内視鏡の鮮明な画像です。微細な病変の発見には最も適しています。
【写真上右】富士フイルム社製経鼻内視鏡の画像です。近年は経鼻内視鏡でも高画質になっています。


 
【写真下】オリンパス社製ハイビジョン内視鏡システムです。
 


 
【写真下】ハイビジョン内視鏡による早期胃癌の画像です。青矢印の先に1cm程の胃癌があります。胃癌の初期では、稀に非常に発見が困難な病変があります。より早期に胃癌を発見するためにはハイビジョン内視鏡などの高画質内視鏡が有効です。



 

3)経鼻内視鏡について

 経鼻内視鏡では咽頭反射が軽減されるため、約半数の方が経口内視鏡より楽に検査を受けることができます。当院内視鏡センターでは経鼻内視鏡を9本常備しており、患者様のご希望に応じ経鼻内視鏡を行っております。経鼻内視鏡は画質に問題があると言われることがありますが、最新機器では画質の改良が大幅に進んでいます。当院内視鏡センターでは、最新の高画質経鼻内視鏡を多数常備しています。

4)胃内視鏡検診の信頼性

 胃内視鏡検査はレントゲン検査のあとの精密検査として行われており、レントゲン検査より多くの胃癌が発見されます。
 当院では早期発見を契機に低侵襲治療で胃癌を根治するために、内視鏡での検診をお勧めしています。

下部内視鏡検査(大腸)

1)概要

 9~12mm前後の太さの内視鏡を肛門から挿入し大腸を観察し、大腸癌・大腸ポリープ(腺腫)や炎症などの病気を見つけます。病気が発見された場合には色素や特殊な光(BLIやNBI)を用いて詳細に観察を行います。また、拡大内視鏡で検査を行い病気が見つかった場合には、拡大内視鏡観察を行い精密に観察します。詳細に観察を行った後、必要に応じて細胞を採取して(組織検査)詳しく検査する場合もあります。
 また、ポリープの観察後に切除が望ましいと判断した場合には、引き続き内視鏡治療を行う場合もあります。

【写真左】進行大腸癌の画像です。下血や便秘などの症状や、便潜血反応で異常を指摘され内視鏡検査を行い発見されることが多いです。治療には外科的手術を行う必要があります。


 
【写真左】早期大腸癌の画像です。早期大腸癌では症状がない方が多く、便潜血反応でも異常を指摘されないことがあるため、早期発見には内視鏡検査が重要です。


 
【写真左】3cm程の早期大腸癌です。この病変は根がはっていない表面の癌(粘膜内癌)であるため、早期発見できれば内視鏡治療が可能です。しかし、平坦型で色調の変化も少ないことから、大腸内視鏡に習熟した医師でなければ発見できない場合もあります。当院では、日本消化器内視鏡学会指導医や専門医など、大腸内視鏡に習熟した医師が主に検査を担当しております。


 

2)検査の準備

 大腸を観察するためには腸の中を空にしておく必要があり、事前に検査食や下剤を服用する必要があります。

3)検査時間

 概ねの検査時間は5分~20分程度です。ただし、大腸の形は個人差が大きく、内視鏡挿入が困難な方では時間がかかることがあります。特に、腹部手術歴のある方は癒着等により検査が困難になることがあります。

4)検査に伴う苦痛

 当院では大腸内視鏡に習熟した医師が検査を行っておりますが、不安の強い方や、過去の大腸内視鏡検査が苦痛だった方には、鎮静剤を用いる方法をお勧めしております。
 大腸内視鏡では検査が順調に終了しても、内視鏡検査に伴い大腸の中に送気された空気により、お腹の張りなどの苦痛がしばらく続いてしまうことがありました。当院では、内視鏡用炭酸ガス送気装置を導入しており、炭酸ガスを使用し内視鏡検査を行っております。炭酸ガスは非常に早く吸収され数分で体外に排出されるため、検査が終わった後の苦痛が大幅に軽減できるようになりました。

5)過去の大腸内視鏡で挿入不可能であった方

 大腸内視鏡検査では、腹部手術後の癒着などにより内視鏡の挿入が困難・不可能な場合があります。当院では、高度の痛みを伴う方や内視鏡が挿入不可能な方に、ダブルバルーン内視鏡を使用した大腸内視鏡検査を行っています。痛みを大幅に軽減し安定した大腸内視鏡検査が可能となります(詳しくはダブルバルーン内視鏡の項をご覧ください)。

ダブルバルーン内視鏡(DBE)

1)概要

 小腸に病気ができるのは比較的まれですが、ダブルバルーン内視鏡が開発される以前は、小腸の病気を診断することは困難な場合がありました。ダブルバルーン内視鏡は自治医科大学附属病院の山本博徳教授が2001年に開発しました。小腸における出血性の病気、炎症、腫瘍、腸管狭窄などの診断を目的として検査を行います。病気の状態により、出血に対する治療(内視鏡的止血術)や腸管狭窄に対する治療(内視鏡的拡張術)等を同時に行うことも可能です。
 当院では、ダブルバルーン内視鏡を開発した自治医科大学山本教授のもとで研修した医師が、ダブルバルーン内視鏡検査・治療を担当しております。

2)検査の説明

 使用する内視鏡は通常の胃や大腸の内視鏡と構造は同様ですが、約2mの非常に長い内視鏡です。この内視鏡は先端に風船(バルーン)が装着されており、内視鏡を覆うオーバーチューブを装着します。オーバーチューブ先端にも風船(バルーン)が装着されており、2個のバルーンを状況に応じて同時または片方のみ膨らませたりしぼめたりすることで、腸管を把持し小腸の深部まで内視鏡を挿入していきます。検査時間は1~2時間程度で、検査中は苦痛軽減のため鎮痛・鎮静剤を使用します。

【写真下左】ダブルバルーン内視鏡は、内視鏡光源セットとバルーンコントローラーより構成されます。
【写真下右】バルーンコントローラーは内視鏡先端やオーバーチューブ先端の風船(バルーン)にかかる圧力を感知し、安全に腸管を把持できるように、バルーン内部の空気量を自動的に調節します。


 
【写真下左】ダブルバルーン内視鏡には、小腸観察用、小腸治療用、大腸・術後腸管用の3種類があります。
【写真下右】内視鏡先端とオーバーチューブ先端に装着されている風船(バルーン)の拡大像です。バルーンはやわらかいゴムでできています。


 

3)ダブルバルーン小腸内視鏡

 口から肛門までの消化管は非常に長く7~8m程度と言われています。通常の内視鏡は口(鼻)、もしくは肛門より挿入し1m程度挿入することができます。上部内視鏡検査では口から挿入し、食道・胃・十二指腸(一部)を観察できます。下部内視鏡検査では肛門より挿入し大腸や小腸の終末部を観察することができます。小腸の長さは5~6mと長く、消化管の中心部に存在しています。そのため、一般的な内視鏡(上部・下部内視鏡)では長い小腸の観察はほとんど不可能でした。
 ダブルバルーン内視鏡は、内視鏡やオーバーチューブに装着されている風船(バルーン)で腸管を把持し、一般的な内視鏡では挿入が不可能な小腸の深部まで安定して内視鏡を挿入し、高率に小腸全域の内視鏡観察ができます。

【写真下】当院のPET-CT検査で小腸に異常を指摘されたため、ダブルバルーン小腸内視鏡を行いました。小腸の広範囲にポリープが多発していました。内視鏡検査では病変が指摘された場合、細胞を採取することができます。ダブルバルーン内視鏡でポリープより細胞を採取し病理検査を行ったところ、小腸の悪性リンパ腫(濾胞性リンパ腫)であることが判明しました。
 


 
【写真下】長年にわたり消化管出血を繰り返し、慢性貧血を来している患者様です。複数の病院で検査を行いましたが原因が分からず、小腸検査目的で当院に紹介されました。
 ダブルバルーン内視鏡を行ったところ、小腸の深部に潰瘍【写真左;青矢印】を認め小腸の狭窄や変形をきたしています。画像右は小腸潰瘍の拡大画像です。


 
【写真左】小腸の深部に病変があったため、ダブルバルーン内視鏡はお腹の中で3回転し挿入されています。このように、非常に奥の小腸に病気が存在しても、ダブルバルーン内視鏡では安定して内視鏡を挿入することができます。


 
【写真左】ダブルバルーン内視鏡から小腸に造影剤を注入しレントゲンを撮影したところ、潰瘍が原因で小腸が狭窄(青矢印)していることが確認できました。
潰瘍の局在や、形状より、慢性腰痛のため内服していた鎮痛剤が原因である可能性が高いと診断しました。鎮痛剤の内服を中止して頂いたところ、消化管出血の再発は無く、貧血も改善しました。


 

4)ダブルバルーン内視鏡を応用した内視鏡検査・治療

 ダブルバルーン内視鏡を応用することで、今までは内視鏡検査・治療が不可能であった患者様の一部で内視鏡検査・治療が可能になりました。ダブルバルーン内視鏡を応用して行う内視鏡検査・治療には下記のような方法があります。

A)クローン病などによる小腸狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術

 クローン病などによる小腸狭窄が原因で腸閉塞を来した場合、手術により治療する場合があります。しかし、クローン病では手術を行っても小腸の別の部位に再度狭窄を来すことが多く、長期の経過中には多数回の手術が行われることがあり、手術が根本的な治療法ではないという問題点がありました。
 ダブルバルーン内視鏡を使用し小腸の狭窄部まで内視鏡を挿入した後、風船のような機器(バルーン)を用いて狭窄に対し内視鏡的バルーン拡張術を行うことで、手術を回避できることがあります。

【写真下】クローン病のため腸閉塞を来している患者様で、長期間に渡り食事ができない状態です。小腸にダブルバルーン内視鏡を挿入すると、高度の小腸狭窄(写真左)を認めました。狭窄は高度で内視鏡は通過できませんでした。レントゲン撮影を行うと(写真右)、ダブルバルーン内視鏡は小腸の深部まで挿入されています。


 

【写真左】狭窄している部位で造影検査を行うと、約3cmに渡り小腸は高度に狭窄していることが判明しました。


 

【写真左】狭窄を拡張するため、内視鏡的バルーン拡張術を行っています。矢印の部位で高度狭窄が見られます。


 

【写真左】バルーンを加圧することにより狭窄が拡張されました。治療後は腸閉塞症状が改善しました。


 

B)通常の内視鏡では大腸内視鏡が困難・不可能な方

 通常の大腸内視鏡検査では、内視鏡挿入に伴い高度の苦痛を伴う方がいます。また、時に大腸内視鏡を盲腸まで挿入することが不可能で、大腸全域の内視鏡観察ができない場合があります。近年、ダブルバルーン内視鏡を大腸内視鏡検査が困難な方に使用すると、大幅に苦痛を軽減し安定した大腸内視鏡検査が可能となることがわかってきました。当院では、そのような患者様にダブルバルーン内視鏡を用いた大腸内視鏡検査・治療を行うことで、ほぼ全ての方で大腸全域の内視鏡検査・治療が可能となりました。

C)術後腸管(胃術後など)の胆管結石内視鏡治療

 胃を手術された方などの一部では、通常の胆管結石治療用の内視鏡では目的部位まで内視鏡が到達せず、内視鏡検査・治療が不可能となるため外科的手術で治療する場合があります。ダブルバルーン内視鏡は手術後の複雑な腸管でも深部まで内視鏡を挿入することが可能となるため、外科的手術を回避できる可能性があります。(詳しくは、その他の特殊内視鏡治療の項をご覧ください。)
 

  1. 内視鏡センター概要
  2. 実績
  3. 設備
  4. 内視鏡検査・内視鏡検診
  5. 内視鏡診断
  6. 内視鏡治療(手術)
  7. ERCP
  8. EUS・EUS-FNA
  9. 膵臓がんドック
  10. 特殊内視鏡治療
  11. 内視鏡検査・治療の安全性
  12. 内視鏡センター責任者
  13. 業績